富裕層にも潮流がある/「日本のシン富裕層」書評
この徒然BLOGでは、読んだ本を記録(記憶)の意味も込めて書評してきたいと思います。
日本のシン富裕層 なぜ彼らは一代で巨万の富を築けたのか [著]大森健史氏
著者の大森さんは、大学卒業後、証券会社に3年勤め、個人や法人の資産家に対し、営業や資産運用のアドバイスをしていた。
ある時、知人から「ワーキングホリデーの手続きをする会社を立ち上げたから手伝ってくれ」と言われ転職。
若い人たちのビザの手続きをしながら、ときどきその保護者からいろいろなお金の相談を受けてきた事をきっかけに、海外移住を包括的にサポートする会社「アエルワールド」を2004年に創業、その後2万人を超える富裕層の人々から海外移住の相談を受けている。
そんな筆者が2000年頃から日本の「お金持ち」に変革が起きていると言い、その変革の中身を実際の顧客を例に挙げながら紐解いていくのが本書の面白いところだ。
本の中では有名な野村総合研究所の定義と比較しながら
純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数 (出典:野村総合研究所)
「シン富裕層」として➀~⑤に再定義し、そのボリュームゾーンは10億~20億だと言う。
➀ビジネスオーナー型
新富裕層の中ではやや古いタイプ。自分の実力で企業を経営してきた。目に見えるモノが好きで不動産投資をするタイプが多い。
➁資本投資型
開業医や一流企業勤めのサラリーマンなどが、世間一般の平均よりも高い給与を元手に、株式や不動産、最近だと暗号資産で増やしていく。
➂ネット情報ビジネス型
インターネットを活用し、株式投資や情報商材、動画配信などの新しい分野にいち早く飛び込み稼いできたファーストペンギンタイプ。
④暗号資産ドリーム型
暗号資産で、数億円から数百億円規模の巨額の資産を手にした人々。自身の判断で投資を決断できる人とメンターのアドバイスに従う人に分かれる。
⑤相続型
親などの親族から、土地、不動産、金融資産などを受け継いだ。守りに入りがち。突然巨額の遺産を手にして人生を狂わせてしまう人も。
多くの人は接することが少ないであろう「富裕層」の変化に触れながら、ではシン富裕層から私たちが何を学ぶべきかが示唆されている。
また、具体的に海外移住を検討している人にはリアルな検討現場の状況を知ることが出来る。
この記事を書いたのは「梶原真由美」